本研究では,新人教員の成長を促すメンター教員に求められる力量ならびに新人教員教育に対する教職大学院等の高等教育機関の貢献可能性が検討された。その結果,メンター教員が「優れた教員養成者」であるためには,新人教員とともに学ぶ関係性の構築やメンタリングとコーチングの柔軟な使い分けが求められることが示された。さらに,イングランドで導入された新人教員教育制度である'Masters in Teaching and Learning (MTL)'に関する複眼的分析から,それを特徴づける「学びのトライアングル」は,高等教育機関の教師教育への関与のあり方を示す一つの実効的なモデルである可能性が示唆された。