研究者総覧

森 秀樹 モリ ヒデキ

所属部署副学長
職名副学長
メールアドレス
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生年月日
Last Updated :2025/04/12

研究者情報

学位

  • 文学修士

J-Global ID

研究キーワード

  • 哲学   創発   Philosophy   

研究分野

  • 人文・社会 / 教科教育学、初等中等教育学
  • 人文・社会 / 哲学、倫理学

学歴

  • 1988年04月 - 1991年03月   京都大学   文学研究科   博士課程(哲学専攻)
  • 1986年04月 - 1988年03月   京都大学大学院   文学研究科   修士課程(哲学専攻)
  • 1982年04月 - 1986年03月   京都大学   文学部   哲学科

所属学協会

  • ハイデガー・フォーラム   関西哲学会   日本現象学会   日本哲学会   

研究活動情報

論文

書籍

講演・口頭発表等

  • 感情について語るとはいかなることか?  [招待講演]
    森秀樹
    日本倫理学会主題別討議「感情をめぐって」 2023年09月 シンポジウム・ワークショップパネル(指名)

MISC

  • 改めて、今なぜギリシア悲劇なのか:書評 秋富克哉著『ハイデッガーとギリシア悲劇』
    森秀樹 図書新聞 4 -4 2023年11月 [招待有り]
  • 「オオカミ少年」を信じることは間違いか
    森秀樹 高校倫理の古典でまなぶ 哲学トレーニング 1――人間を理解する 1 22 -31 2016年
  • ハイデガーの宗教的転回と現代における「宗教的なもの」
    森秀樹 寿卓三編『ハイデガー存在思惟における「聖なるもの」の位相-「倫理」の基底への問い-』(科学研究費補助金研究成果報告書) 31 -136 2011年03月
  • 「市民性教育」 としての 「子どものための哲学」
    森秀樹; モリヒデキ 2011年
  • 市民性教育の条件:グローバリズムを超えて
    森秀樹 『グローバル化時代における市民性の教育-論文集(1)-』(「グローバル化時代における市民性の教育」研究グループ編) 11 -19 2007年03月
  • 森秀樹 倫理学研究 37 (37) 127 -131 2007年
  • アイデンティティとしてのグローバリゼーションとその問題
    森秀樹 『グローバル化とナショナル・アイデンティティに関する意識構造についての実証的研究』(科学研究費補助金基盤研究(A)(1)研究成果報告書、研究代表者佐々木正道) 123 -148 2004年10月
  • 哲学における天空と大地
    森秀樹 表現におけるイメージ・シンボル研究 97 -131 1997年
  • コスロフスキーペーター; 森秀樹 比較法史研究 6 (6) 308 -325 1997年

共同研究・競争的資金等の研究課題

  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(C)
    研究期間 : 2019年04月 -2022年03月 
    代表者 : 森 秀樹
     
    (1)論文「スペンサー「総合哲学の体系」の形而上学的構想」は、スペンサーが、進化概念を原理とする体系化によって、全体として何を目指したのかを明らかにすることを試みた。まず、『第一原理』を通して、スペンサーが体系的な記述を行うにあたって進化という概念を原理とした理由を考察し、『総合哲学の体系』が形而上学的な目的をもっていることを明らかにした。次に、『生物学原理』に依拠しながら、進化とは、生物が環境との相互作用の中で互いに絡み合う関係を形成することを意味することを確認した。そして、『心理学原理』に基づいて、認識が環境との絡み合いを認知する役割を担っていることを確かめた。そのような認識能力を備えた存在が集まるとき、社会や倫理といった新しい秩序が生まれるが、それらは進化を促進する役割を果たすということを明らかにした。これらの議論に基づいて、『総合哲学の体系』は全体として統一的な形而上学的構想を示すことを目的としていたことを明らかにした。 (2)論文「スペンサーにおける科学論と創発の進化論的解釈」は、スペンサーの思想を「進化論的認識論」として解釈することで、その立場から科学哲学における創発に対する批判を検討した。まず、スペンサーの思想を「進化論的認識論」と解釈することができることを確認した。そして次に、この立場に立つことによって、科学とは状況に巻き込まれた科学者集団による試行錯誤を通して形成される、世界と相関的な実在的構造として理解することができるということを明らかにした。その上で最後に、科学を進化論的な仕方で解釈するとき、科学哲学における創発の議論にどのような寄与をなしうるのかを考察し、科学にとって実在は創発的な有り方をしており、かつ、その発見や実証もまた世界の中での創発的な出来事であるということを明らかにした。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(B)
    研究期間 : 2017年04月 -2020年03月 
    代表者 : 佐々木 正道; 森 秀樹; 斉藤 理; 安野 智子; 水上 徹男; 矢野 善郎; 鈴木 未来
     
    前年度に引き続き信頼感とインターネットの使用との関連などについて、既存の理論や仮設を踏まえその他の項目の検証を行った。その結果、信頼感とインターネットでのコミュニケーションに対する考え方や家族や友人との連絡の頻度との関連は、男女の間に相違があることが明らかとなった。前年度の検証結果と合わせ、高信頼感の人と低信頼感の人との間に、すべての項目において相違がみられ、インターネットの使用は友人や家族のコミュニケーションを促進し、信頼を醸成する上で有用であるという既存の研究結果が支持され、男性より女性にその特徴が顕著であることが明らかとなった。 また、今回の全国調査において、インターネットの使用頻度について、他の年齢層よりも18歳から39歳までの年齢層で「多い(ややとかなり)と感じている」との回答の割合がかなり高かった。しかし調査の結果、東京など大都市のその年齢層の標本数の少なさが際立ったため、同じ質問票を使用し、東京の2地区(練馬区と世田谷区)の18 歳から39歳までの男女480名(回収数/199)を対象に、住民基本台帳を用いた2段階無作為抽出法(各/12地点 1地点/20人)による追加調査を実施した。そして、データクリーニング及びデータファイルの作成を行った後、東京とそれ以外(大都市を除く)の市町村の同じ年齢層の比較を行った。その結果、信頼感とテレビの視聴時間や、インターネットの使用との関連などについて、東京とそれ以外の市町村の間に際立った差がないことが明らかとなった。なお、研究の推進の一環として、立教大学にて、10月に「信頼感」国際ワークショップを実施した。参加者はロシアと日本からが多く、その他ポーランドや英国の参加者による24の論文発表が行われた。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(C)
    研究期間 : 2014年04月 -2018年03月 
    代表者 : 佐々木 正道; 吉野 諒三; 安野 智子; 矢野 善郎; 森 秀樹; 石川 晃弘; 林 文
     
    「信頼感」の形成過程の初期の段階での前提要因として、米国、ドイツ、フィンランド、チェコ、日本、台湾では名声と人的ネットワーク、そしてロシアとトルコでは獲得的地位と同郷・同窓が重視されることが明らかとなり、先行研究の一部の理論が支持された。そして、3都市(上海、ソウル、東京)において信頼構造の共通性の有無について検証を行った結果、「信頼感」と属性(性別、年齢、学歴)、一部の性格特性、人的ネットワークとの関連について共通性が認められた。2017年11月に31カ国121名の研究者が集い、「信頼感」の国際会議が催され、その成果を専門誌に掲載した。また研究代表者は編著書に本研究成果の一部を収録した。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(C)
    研究期間 : 2012年04月 -2015年03月 
    代表者 : 寿 卓三; 森 秀樹; 上利 博規
     
    グローバル化の進展は、現代社会が「総駆り立て体制Ge-stell]によって駆動される「犠牲のシステム」という側面を持つことを顕在化させ、人-間的共生の可能性を縮減させつつある。 アングロ-サクソン系哲学における死の考察と実存主義の死の哲学とを架橋しつつ、トーマス・マンの言う「絶望の超越性」、つまり「希望のなさの彼方に生まれる希望」を見いだす「芸術的逆説」という思想と関連づけてデリダにおける〈喪〉の問題、さらにはパウル・ツェランにおけるハイデガーによる謝罪への期待を読み解くことで、人-間的共生の地平を切り拓くことは依然として可能であることを明らかにした。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 挑戦的萌芽研究
    研究期間 : 2012年04月 -2015年03月 
    代表者 : 松本 伸示; 森 秀樹; 小川 博士; 中島 雅子; 平田 豊誠; 榎本 英雄; 衣笠 高広; 篠原 光教; 水谷 浩文
     
    本研究では「総合的な学習の時間」で取り上げられることが多い,非連続型テキストの読解とそれを支える論理的思考力の育成を目指し,「論理学」と「子どものための哲学」の研究成果を取り入れた教材と授業実践モデルを提案することを目的とした。 研究成果としては,第1に,子ども達の論理的な思考力を評価するための評価ツールを開発した。第2に,非連続型テキストを読解する中学生用の教材を開発し,15回分の授業実践を行い,その実践可能性を検証した。第3に,中学校用の教材の中から小学生用の飛び込み教材を開発し,2つの小学校で実践した。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(B)
    研究期間 : 2010年04月 -2015年03月 
    代表者 : 佐々木 正道; 吉野 諒三; 安野 智子; 矢野 善郎; 首藤 明和; 森 秀樹; 田野崎 昭夫; 石川 晃弘; 林 文
     
    本研究では、フィンランドを加えた8カ国(日本、米国、ロシア、フィンランド、ドイツ、チェコ、トルコ、台湾)で実施した意識調査をもとに、「信頼感」と「価値観」の関連性について解明を行った。「価値観」に関する質問は、自身の生き方、法律の順守、善悪観、結婚・家族観、宗教心等についてである。重回帰分析の結果、「信頼感」についての互酬性と性善説が8カ国に共通して「信頼感」にプラスに影響していることが明らかとなった。また、「信頼感」の度合いを4段階にわけ、1と4段階において各国の「価値観」との関連について数量化分析を行った。その結果、「信頼感」の高低によって各国の「価値観」の布置に際立った特徴が見られた。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(B)
    研究期間 : 2011年04月 -2014年03月 
    代表者 : 寺田 俊郎; 中岡 成文; 森 秀樹; 豊田 光世; 直江 清隆; 山田 圭一; 河野 哲也; 本間 直樹; 村瀬 智之
     
    初等・中等教育において哲学教育を推進する方法を研究し、実効的な教育プログラムを構築することを目標として、以下の研究を行い成果を得た。(1)「子どもの哲学」を中心とする哲学対話教育に関する文献を調査し、教育プログラムを構想するための基礎資料を整備した。(2)国内外で行われている哲学対話教育を調査するとともに、研究者・実践者と共同研究することによって、いくつかの教育プログラムを作成した。(3)作成した教育プログラムを、国内のさまざまな初等・中等学校で実際に試行することによって、その有効性を確認し、改良を加えた。(4)初等・中等教育における哲学教育の意義について、理論的・実践的観点から理解を深めた。
  • 死の現象学的考察─死すべき者と言葉との関わりを手がかりに─
    科学研究費補助金
    研究期間 : 2012年 -2014年 
    代表者 : 寿 卓三; 教育学部
  • 初等・中等教育における哲学教育推進のための理論的・実践的研究
    科学研究費補助金
    研究期間 : 2011年 -2013年 
    代表者 : 寺田 俊郎; 文学部
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 挑戦的萌芽研究
    研究期間 : 2009年 -2011年 
    代表者 : 松本 伸示; 森 秀樹; 榎本 英雄; 衣笠 高広; 篠原 光教; 水谷 浩文; 竹尾 隆浩; 松本 榮次; 平田 豊誠; 小川 博士; 沖野 信一
     
    本研究では、「子どものための哲学」の中で取り上げられている論理学的推論過程を教科学習に導入することにより、論理的思考力を育成するとともに、PISA型読解力を育成しようとするものである。研究の成果としては、小学生に「子どものための哲学」授業として、ベン図を導入した推論過程を含んだ討論活動を行わせることが可能であり、理科学習における実験結果の考察場面で、この推論活動を含んだ論理的思考活動を行うことができることが明らかとなった。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(C)
    研究期間 : 2008年 -2010年 
    代表者 : 森 秀樹; 松本 伸示
     
    現在、様々な地域で市民性の教育の必要性が叫ばれ、それが実践に移されている。その背景には、グローバル化の進行による、社会制度、人間関係、自己のあり方の流動化がある。後期近代においては「再帰性」がより強まっており、それに対応することが求められるが、現代哲学が考察してきた「移行」に関する考察を「市民性教育」にも応用することができる。そこで、各地における「市民性教育」の諸実践の現状と課題を分析し、「市民性教育」の依拠する概念枠組みと方法論の再構築を行い、「子どものための哲学」を「市民性教育」として導入するための、日本の学校教育において実践可能なカリキュラムを開発した。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(C)
    研究期間 : 2007年 -2010年 
    代表者 : 寿 卓三; 上利 博規; 森 秀樹
     
    ハイデガーの存在思惟を「聖なるもの」という視点から捉え返すことによって、「倫理」を再構築する可能性を明らかにした。さらに、倫理の揺らぎの負の帰結が明白な教育の場面での「権威」の再生可能性を明らかにした。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(A)
    研究期間 : 2007年 -2009年 
    代表者 : 佐々木 正道; 吉野 諒三; 安野 智子; 首藤 明和; 水上 徹男; 森 秀樹; 矢野 善郎; 田野崎 昭夫; 石川 晃弘
     
    「信頼感」に関する研究は社会学の根幹をなす重要なテーマであるものの、実証的裏付けがなされないまま主に理論的視点から研究が進められてきた。本研究では7カ国(米国・日本・ロシア・ドイツ・チェコ・トルコ・台湾)の「信頼感」に関する全国意識調査をもとに研究を行った。その結果、1)2カ国(日本・台湾)を除く、5カ国でミシガン大学が開発した「信頼感」尺度が分析に適用できること。2)親による信頼の社会化が7カ国共通に見られないこと。3)信頼は互酬性の規範を7カ国共通に持たないこと。4)信頼を形成するパーソナリティーの特徴は、共通点があるものの各国異同であることが明らかとなった。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 萌芽研究
    研究期間 : 2005年 -2007年 
    代表者 : 松本 伸示; 佐藤 真; 森 秀樹
     
    19年度は,兵庫県加東市の小学校で低学年児童を対象として絵本の「読み聞かせ」活動を取り入れた日本版の「哲学」授業を実践した。これは,これまでIAPCで開発されたテキストを用いてきたが,低学年児童を対象するには討論の題材が身近であること,さらには,低学年児童の読解力の発達を考慮にいれたことによる.また,これまで「総合的な学習の時間」を活用して「哲学」授業をおこなってきたが,今年度は子どもたちにもっと哲学的討論を身近なものとするため,学校のカリキュラムに縛られることのない放課後の学童保育の時間を活用することも考えてみた.これにより教室という物理的,心理的な条件に縛られることなく子どもたちは自由に哲学的討論を楽しむことができた.さらに,兵庫教育大学附属中学校においても選択科目の時間を活用し日本版の「哲学」カリキュラムを開発して授業実践した。これはイギリスのNEWSWISEを手がかりにニュースを教材としたP4Cの手法を参考としつつ,討論テーマを生徒の身のまわりの出来事から取り上げた実践研究である.この実践ではより哲学的な要素を含んで討論が展開されるようにカリキュラムを設定した.また,17年度に収集した韓国の資料をもとに思考力育成を図るための副読本「お母さんとともに創る日記」を完成させた。これらの基礎データによって日本においても「哲学」授業が可能であり,児童・生徒の思考力の育成につながっていくことを明らかにした。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(A)
    研究期間 : 2001年 -2003年 
    代表者 : 佐々木 正道; 森 秀樹; 吉野 諒三; 林 文; 水上 徹男; 山岡 和枝; 林 知己夫; 鈴木 達三
     
    初年度は本プロジェクトに関する資料・文献・データを国内と主にアメリカ合衆国で収集し、整理を行った。その結果国内についてはグローバル化を受身で捉えているものが多く、逆にアメリカにおいてはそれを取り立てて意識して捉えていないものが多いことが明らかとなった。またデータの二次的分析とその分析結果の検討を行った結果、グローバル化とナショナル・アイデンティティに関するロバートソン、スミス、ルーマンなどの既存の理論を部分的に検証することができた。 初年度に実施した高校生と成人(親子ペア)を対象とするプリテスト調査結果に基づき、平成14年度に全国規模の本調査を、層化二段無作為抽出法と個別面接聴取法により2回実施した。第1回の調査では、15歳〜17歳の男女とその親(700組(1,400人))および20歳以上の2,000人の男女を調査対象とし、第2回の調査では20歳以上の男女2,400人を調査対象として実施し、データ分析を行った。 その結果親子に関しては、グローバル化とナショナルアイデンティティに関連する態度については大差が見られなかった。また、若年齢層と高年齢層を比較すると、高年齢層においてより伝統的なものの見方そしてナショナルアイデンティティの度合が比較的高くみられ、逆に若年齢層においては社会・世界に対してグローバルな見方をし、より近代的アプローチをとる傾向が見られた。さらにナショナルアイデンティティの高低(N=高、n=低)とグローバル化の高低(G=高、g=低)の組み合わせで4つのパターンに類型化した結果、ngの割合が最も高くNg、nG、NGの順に割合が低くなっている。ただし、外国語の使用、家庭や性役割、環境問題、職業観などに関しては比較的高い程度のグローバル化が見られた。また本プロジェクトメンバー中の4名の共同研究者は本研究テーマに関し、国際比較の視点からアメリカ、西ヨーロッパ、オーストラリアそして中国に本プロジェクトのテーマに関するそれぞれの国の研究者を訪ね、本調査結果を検討し新たな知見を得た。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 奨励研究(A)
    研究期間 : 2000年 -2001年 
    代表者 : 森 秀樹
     
    当研究では、現象学研究を通して得られた、媒介性に依拠する主体性の概念を基礎に据えて、現代の政治哲学のアポリアを考察し直す。このような主体は自律しておらず、他者との関係に巻き込まれているが、まさにこの巻き込まれ、他者との関係の基礎として機能することになる。 他者からの訴えかけが、主体を構成するのであり、それゆえにそれに責任をもって答えることが自己の存立条件となる。 このような観点から、まず第一に、デリダの脱構築やナンシーの共同体論を位置づけ直すことを試みた。彼らはしばしばポストモダンの思想家として分類されているが、懐疑主義に陥るわけではなく、新たな仕方で倫理の基盤を考察している。 そして第二に、このような媒介性の概念に依拠して、応用倫理学的なテーマへの適用を行い、多文化主義、ボランティア論、ジェンダー論の座標軸の再構成を試みた。具体的には、ローティの自文化中心主義が多文化主義の論点を逸していること、ボランティア活動を近代批判的な活動として再評価すること、ジェンダー論において主体性の役割の再評価が必要であり、その点で社会構築主義的アプローチが重要であることについて考察を試みた。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(A)
    研究期間 : 1999年 -2000年 
    代表者 : 佐々木 正道; 宗 正誼; 森 秀樹; 水上 徹男; 吉野 諒三; 宮崎 和夫; 鈴木 達三
     
    本研究成果の概要は以下のとおりである。 1.研究代表者は、既にボランティア教育(サービス・ラーニング)を実施している数多のアメリカの大学のうち10大学(コロンビア大学、ニューヨーク大学、ラトガー州立大学、ミシガン大学、ワシントン大学、シアトル大学、ウエスタンワシントン大学、カリフォルニア大学バークレー分校、カルフォルニアステイト大学チコ分校、スタンフォード大学)を選び、担当・責任者との面接調査を実施し、ボランティア教育の現状とカリキュラムについての問題点や改善すべき点などを探った。その結果、アメリカにおいては今やボランティア教育、つまりサービス・ラーニングは大学のカリキュラムそしてFD(ファカルティディベロップメント)の中では重要な位置を占めていることが判明した。 2.共同研究者2名は、本プロジェクトの共同研究者であるドイツのケルン大学のアーウイン・ショイヒ教授の調査企画に基づき、ドイツとフランスにおいて本プロジェクトに関する資料・文献収集と大学のボランティア教育の担当・責任者並びに両政府の青少年のボランティア活動についての担当者を含む8名を対象に面接調査を実施した。その結果、両国の大学生の間では、ボランティア活動についての関心は高いものの、具体的な取り組み方についての認識や情報が不足していることが判明した。 3.前年度実施したプリテストの結果に基づき、ボランティア大国であるアメリカの18の大学において約2,500名の学生を対象にボランティア活動に関する意識調査を実施した。その結果、同じ質問票を使用して平成10年度に実施した日本の16の大学での調査結果と比べ、ボランティアに対する大学生のイメージについて日米の間で明らかな相違が見られたもののボランティア活動についての意識や実態においては多くの回答において類似の傾向が見られた。 欧米の大学生によるボランティア活動との比較によって、今後日本においてボランティア活動を大学の教育カリキュラムへどのように導入すべきかについての具体的な知見を得ることができた成果は大きい。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(A)
    研究期間 : 1998年 -1999年 
    代表者 : 佐々木 正道; 宗 正誼; 森 秀樹; 水上 徹男; 鈴木 達三; 宮崎 和夫; 吉野 諒三; 林 知己夫
     
    本研究は現在分析の段階であり結論をまとめるには至っていないものの、現在までのところ本研究によって得られた新たな知見は以下の8項目である。 1)日本の大学生のボランティア活動に対する関心は高いものの、これが直接ボランティア活動に結びついていないのが現状である。 2)一般に大学生のボランティア活動に対するイメージは高いといえる。 3)ボランティアは無償であり、大学教育にはなじまないという思い込みが大学教員と大学生に多くみられ、この意識を変えることが今後のボランティア教育にとって不可欠となる。これには本研究で取り扱うアメリカのサービス・ラーニングがかなり参考になると思われる。 4)ボランティア活動を希望している大学生及び大学とボランティア受け入れ団体・施設との間の連携において様々な問題があり、この解決が急務の課題である。 5)ボランティア論を教えている教官同士の交流はほとんど行われていないのが実態であり、今後のボランティア教育(ボランティアカリキュラムの開発を中心)にとってこの推進が早急に求められる。 6)大学生のボランティア活動に関する窓口を地方自治体や大学等に設置することが緊急の課題である。 7)ボランティア教育において評価基準の確立が大切となる。現状ではボランティア活動は善意にもとづくので成績をつけるなどの評価はできないといった考えが底流にありこの考えを改めることが重要となる。 8)ボランティア教育推進のためには、大学教官用とボランティアコーディネーター用のガイドブックが必要である。その内には理論面、実践面、活動に関する情報を別々にもりこむことが要となる。

その他のリンク

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