日本学術振興会:科学研究費助成事業 研究活動スタート支援
研究期間 : 2020年09月 -2023年03月
代表者 : 神内 聡
本研究は学校設置者の顧問弁護士とは異なる立場から学校現場で生じる法律問題に関わる弁護士を「スクールロイヤー」と定義し、その実態を量的・質的に調査している。また、本研究は類似の他の研究とは異なり、研究者自身がスクールロイヤーに関する豊富な実務経験を有し、かつ教員として学校現場での勤務経験も有することから、信頼性の高いデータを数多く収集し、表面的な調査だけでは得ることが困難な研究情報にもアクセスしている点に意義がある。
本年度(2021年4月~2022年3月)は、新型コロナウイルスの感染拡大により、残念ながら予定されていた実地調査及びインタビュー調査の大半が中止・延期になった。しかし、研究者自身の弁護士の実務においては、研究成果につながる貴重な案件を担当でき、特にいじめ対応と成年年齢引下げにおけるスクールロイヤーの実務について学術的にも重要な知見を得ることができた。また、スクールロイヤーに関する類似の研究ではほとんどが導入してまだ間もない事例を調査対象としており、実証研究として扱うには困難であるのに比べて、本研究が今年度に調査を実施した事例はいずれもスクールロイヤーを導入してかなりの年数を経たものであり、経験豊富な被調査者にインタビューすることができたことは、学術的な考察が難しい学校の外部人材の効果において、極めて有意義な進歩であると考えている。
さらに、今年度は文部科学省よりスクールロイヤーの導入に関する網羅的な調査データを提供していただいた他、弁護士会で実施された調査も入手することができたため、量的分析に関しても重要な進展があった。こうした研究調査の結果に関連する著作として、本年度は単著・共著・論文・学会でそれぞれ発表した。