日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(C)
Date (from‐to) : 2017/04 -2021/03
Author : 加藤 美朗; 蓑崎 浩史; 嶋崎 まゆみ
令和1年度は、平成29年度に実施した遺伝性疾患の在籍状況調査(研究1)の結果をまとめて「特殊教育学研究」に投稿した。また、遺伝性疾患6症候群のある児童生徒を担当している教員を対象に各症候群の行動特性に関する質問紙調査を平成30年度に実施した研究2の結果の一部を日本特殊教育学会第56回大会で発表した。結果は、対象となった遺伝性疾患の行動表現型として知られている行動特徴について、たとえばプラダー・ウィリー症候群について担当教員の多くが知っていた行動もあれば3分の1、あるいは約半数が知らないと答えたものがあった。各症候群の抱える困難について、教員が困難だと考える割合は症候群によって異なり、たとえば行動面については、プラダー・ウィリー症候群、アンジェルマン症候群、スミス・マゲニス症候群における困難の割合が高いといった結果がみられた。これら症候群ごとで抱える困難や、教員の知識に関する情報に基づいて各症候群の行動特性に関する資料を作成し、提供していくことは今後の教育的支援にとって有用であると考えられる。また、年度後半は、本研究の自由筆記回答についてテキストマイニングによるデータ処理に向けた入力および結果の検討を開始した。
さらに、日本行動科学学会第36回ウィンターカンファレンスにおいて遺伝性疾患の支援に関するテーマの大会企画シンポジウムを企画し、研究代表者と研究協力者が企画趣旨説明および話題提供を行った。加えてスミス・マゲニス症候群の行動特性に関する質問紙調査のデータ入力を開始した。また、第10回国際プラダー・ウィリー症候群学会(International Prader-Willi Syndrome Organization 10th Conference; ハバナ)での口頭発表について研究代表者が筆頭で抄録を作成し発表申込を行ったが、当日の口頭発表については連名発表者が行った。