日本学術振興会:科学研究費助成事業
研究期間 : 2021年04月 -2026年03月
代表者 : 横川 博一; 中村 哲; 田中 宏季; 島田 浩二; 鳴海 智之; 濱田 真由
基礎研究として,言語への反復接触(経験)が言語知識(語彙・音声・統語)の獲得に及ぼす影響,頻度による影響などについて,言語産出の両面において,心理言語学実験を通して,基礎的な行動の変容を明らかにした。
●経験に基づく統語知識の変容(潜在学習 implicit learning)が起こるのか,fMRIを用いた神経心理言語学実験により,任意の文構造に繰り返し接触すると既存知識の重みづけが変化し,その構造を次に予測する可能性(予測エラー)が高まり,その予測エラーの大きさが学習の度合いを反映することなどが明らかになった[Nakagawa et al, 2022]。
●リテリング活動における語彙の習得:リテリングには語彙の使用が重要であるが,語彙がどのように学習され,習得されるのかを心理言語学実験により調査した。その結果,学習者にとって既知語は語彙知識の深さが促進され,未知語は新たに習得されることが明らかになった[関・濱田・横川, 未発表]。
●学習トレーニングシステムに関する理論的基盤の整備:リテリング活動を中核とするパイロット版学習トレーニングシステムを認知的メカニズムの観点からさらに考察を加え,トレーニングシステムの改善と拡張の可能性を実証するための理論的モデルの精緻化を図った[横川・中村・田中・島田・鳴海・濱田, 2022]。